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外伝六   かくて、狼は漸う王となり 解説



・>鋭く光る刃に、戸惑うボコが映り込んでぐにゃりと歪んだ。という一文

 今回は全編を通して「ボコの笑顔」を強調しています。
 彼は父親からの絶え間ないDV、恐怖支配によって、自我を失っている状態です。
 泣いたり怒ったりという自分の感情を殺して、父親の機嫌をうかがい、常に笑顔でいることが染み付いてしまっています。
 そんなボコの生き方が、変わる瞬間。ボコが今まで「自分」としてきたもの(たとえそれが空虚であったとしても)。
 それが歪む瞬間。が、ここです。ここからです。という合図として挟んだ一文です。


・>【教育】は、おそらく、成功した。という一文

 このときマリクが行った”教育”にはふたつの意味があります。
 ひとつは、父親に対する「舐めたら痛い目を見るぞ」という警告としての教育。
 もうひとつは、ボコに対する、父親の支配から抜け出すための教育。
 この瞬間に「成功した!」と確信が持てるようなものではありませんが、この直前にボコが涙を見せたことにより、「おそらく成功した」のではないかとマリクは思いました。
 ボコが封じ込めていた感情を思い出すことができたのではないか、としています。


・ボコが彼女を欲しがる理由

 本編や外伝でボコはよく「彼女が欲しい」と言います。
 ただのチャラ男かと思いきや、実はこれは彼の生い立ちに深くかかわります。
 親からの愛情を受けずに育った、いわゆる「アダルトチルドレン」な彼は、マリクの教育のおかげで多少の「自分」を取り戻しはしましたが、やはり自己が少し不安定で揺らぎがちです。
 そんな彼だからこそ、「誰かに愛されたい」と願うのです。誰かに深く愛されることで、自分の存在を肯定することができると信じているのです。
 もちろん彼はそんなに自己分析ができる賢い子じゃありませんから、言動はすべて「無意識」で行っていますが……。


・なぜ青年は金を奪ったあと一人で逃げずにわざわざ父親の元へ戻ったのか

 実はこれには裏設定がありまして、本文中、一文のみ、話の流れとあまり関連性が感じられない部分があったのにお気づきでしょうか。

>目が合っても、見つめられているという感覚は無かった。どこか曖昧に四散した視線。

 この一文でのみ匂わせたのですが、実は、「ボコの父親は薬物中毒」です。
 父親の言動がややおかしかったことで、もしかしたらお気づきだった方もおられるのでしょうか?
 デコが「家探し」してる間に「おヤバイお薬」を発見するくだりや、マリクが「こいつヤク中だな」って気づくくだりを入れようとしたのですが、今回の外伝の本筋とズレそうで泣く泣く削った部分でした。  

 あの計画についてですが、もし「青年が主導権を握って計画したなら」、金を盗んだ後、父親のもとへ行かず、彼が一人で逃げれば良い話。

 これから先どこかで活かすかわからない裏設定なのですが、青年はヤクの末端バイヤーで、ボコの父親はその客だったんです。
 そのボコの父親からもちかけられたのが、今回の計画です。「使えない息子」を捨てて、ちょっと大きい金狙いたいから手伝え的な。青年もお金は欲しかったので、「双方の利害の一致」です。
 青年は、「ヤク取引の客」を失いたくないので、金を持ってちゃんと戻ったわけです。(もしかしたら多少はピンハネしたかもしれないけれど、それもマリクが見つけてきっちり回収したでしょう)

 青年がマリク達を眠らせる為に盛った薬も、このあたりの筋から入手したものです。

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